あの〜すみません、「仲値」について教えてほしいんですけど。。。
FXをやっていると、聞いたことがない知らない用語に数多く出会うと思います。
特に初心者の方であれば、その中で何が重要で何を覚えるべきかも分からない状態でしょう。
今日は、FXをやる上で必ず知っておきたいものの一つ、「仲値」を説明します。
はっきり言って、これを知っている人と知っていない人との間ではFXの成績に大きな差が開くと言っても過言ではありません。
とても簡単に理解できますので、ここでしっかり覚えておきましょう。
- 「仲値」とは?
- 仲値でドル円が上昇する仕組み
- 仲値を理解しておくべき理由
- 仲値の特徴を利用した「仲値トレード」
それでは早速見ていきましょう!
「仲値」とは?
仲値とは、金融機関が顧客との間で行う外国為替取引の際に基準として使用するレートのことです。
このレートは、午前9時55分の為替レートを参考に金融機関によって決定されます。
仲値は、基本的には外国為替市場(インターバンク市場)の取引レートを基準にして金融機関ごとに決定されますが、三菱東京UFJ銀行が決定するレートが基準となっています。
仲値で決められた取引レートは、その後、よほど大きな変動がない限りはその日1日の間適用されることになりますが、仲値から「1円以上」の変動があった場合には、仲値は【公表停止】となり、改めて仲値が決められるルールになっています。
仲値を決める理由って?
仲値を決める理由って何ですか?
為替相場は1秒ごとに常に変動しています。
刻一刻と動くレートを、取引するつど銀行に問い合わせていてはものすごく面倒臭いので、「あるタイミングでその日の取引レートを決めてしまおう!」ということで仲値という制度が生まれました。
その方が色々と楽になるというわけですね^^
仲値が用いられる事例
じゃあその「仲値」ってどういう時に使われるんですか?
身近な例でいうと、海外旅行に行く時に必要な両替のレートです。
この両替で用いられるレートが、「仲値」です。
例えばアメリカに旅行に行く際は、日本円を米ドルに両替しなければなりませんね。
この時、もし仲値という制度がなければ、両替をするタイミングがほんの数分ずれるだけで両替で受け取る米ドルの金額に違いが生じることになります。
ここで10万円を米ドルに両替するケースで考えてみましょう。
10時00分の米ドル/円のレートが1ドル100円だった場合は、両替で1000ドル受け取れます。
ところがそのあと何らかの影響でレートが急激に円安に振れ、11時00分にはレートが1ドル110円になってしまいました。
そのタイミングで両替をした場合、受け取れるのは909ドルです。
このように、仲値という制度がなければ、両替をするタイミングによって金額が変わってきます。
これは両替する側としてはとても面倒で手間なことです。
仲値という制度があれば、《本日のレートはこちら》などといった表示で「今日はこのレート準じて両替をします」と業務を効率化することができます。
なぜ「仲値」っていうの?
素朴な疑問なんですが、仲値の「仲」ってどういう意味ですか?
銀行は、企業が円やドルを両替する際に、「売り」と「買い」に差額を設けて手数料を取ることで利益を出しています。
この時、銀行が顧客に対して外貨を売るレートをTTS(Telegraphic Transfer Selling rate)と呼び、外貨を買うレートをTTB(Telegraphic Transfer Buying rate)と呼びます。
仲値(TTM:Telegraphic Transfer Middle Rate)は、この2つの値段の中間である平均の値をとっているので、「仲」値という名前が付いています。
売値と買値の「中間」っていうことだったんですね!
仲値の確認の仕方
仲値は、金融機関のホームページで公表されているのでそこで確認することができます。
例を挙げると、りそな銀行とみずほ銀行では以下のような感じで公示しています。
その日その日の仲値が確認できるんですね!
仲値でドルが上がる仕組み
さて、いよいよここからが本題です。
ここまでは仲値というもの自体を説明してきましたが、FXトレーダーが覚えるべきポイントは実はここから下の内容になります。
繰り返しになりますが、これを知っているといないとではFXの成績に大きな差が開きます。
是非ともここで覚えていってください。
実需取引とは?
まずはじめに、為替相場を動かしているのは主に銀行や証券会社などの金融機関や、ヘッジファンドなどの投資会社と言われています。
しかし東京市場では、欧米市場に比べてヘッジファンドなどの投機機関の参入が少ないため、これらが及ぼす相場への影響は限定的です。
では、一体何が相場に影響を与えているかというと、それは「実需取引」です。
東京市場では、この実需取引が為替相場を変動させる大きな要因になっているのです。
輸入企業と仲値
なぜ実需取引が相場を大きく動かすんですか?
基本的なこととして、世界の基軸通貨は米ドルです。
なので外国との貿易の際には米ドル建ての決済がほとんどです。
輸出入企業は、外国と貿易するために円をドルに交換したり、外国との取引で得た利益(ドル)を円に両替したりしているのですが、それらの大口の実需取引が為替相場を大きく動かしています。
特に石油や金属などの資源を輸入している輸入企業は、仲値との関わりが大きいです。
それではここで、輸入企業と仲値との関わりということで、仲値が決まる時間帯の裏側で何が起こっているのかを説明します。
❶.まず、輸入企業は取引先への支払いに必要なドルを買うために、事前に銀行に仲値取引を依頼します。
❷.すると、その注文を受けた銀行のディーラーは、市場でカバー取引を行いドルを買ってきます。
❸.全ての銀行でドル売り円買いのオーダーよりもドル買い円売りのオーダーの方が多かったとしたら、相対的にドルを買う量の方が多くなるので、仲値の決定時間にかけてドル高が進行します。
これが、仲値(午前9:55)にかけてドルが上昇する仕組みです
よく、「輸入の実需取引によりドル高が進行」や「実需先導でドル円が上昇」など、あたかも実需取引そのものがドル円を上昇させた要因かのようにニュースで流れていますが、これは厳密に言えば間違いです。
上で説明した通り、ドル円が上昇するのは金融機関が外国為替市場でドルを買うからです。
この辺の仕組みや裏側がわかると今まで以上に為替の世界が面白く見えてきますよね^^
ゴトー日とは?
日本の輸入企業が相手国に行う決済は、ゴトー日(ゴトービ)と言われる5や10のつく日(5日、10日、15日、20日、25日、30日)に行われることがほとんどです。
そのため、ゴトー日には輸入企業から仲値取引依頼が多くなり、金融機関のドルのストックが不足することが多々あります。
これは「仲値不足」と呼ばれ、金融機関は仲値不足の解消のために、外国為替市場を通じてドルを買い入れます。
なので、特にゴトー日には仲値不足によりドル円が仲値にかけて上昇しやすいのです。
月末ゴトー日は特に大きく動く傾向があります
余談ですが、仲値不足の反対で「仲値余剰」という状態も発生しうります。
これは顧客の外貨売り超(ドル売り超え)となっており、銀行が市場に外貨を売る必要がある状態のことです。
仲値決済は基本的に不足になる場合が多いですが、一部輸出業者なども利用しているため、余剰になることも稀にあるということは覚えておいて損はありません。
仲値を利用して稼ぐ「仲値トレード」
さて、ここからは「仲値トレード」についてお話していこうと思います。
「仲値トレード」とは、ゴトー日の仲値にドル円が上昇しやすいという相場の特徴を利用して利益を狙うトレードです。
では実際に、ゴトー日の仲値前後のドル円チャートを見てみましょう。
⬆︎は2020年4月下旬のドル円の1時間足チャートです。
黒い矢印で示したように下降トレンドとなっています。
デイトレードなら、オレンジ色のラインは絶好の戻り売りポイントですね。
しかしピンク色の丸で囲ったところで揉み合いになっています。
このことから106.40からの買いが強いことが示唆されます。
さて、そこで黒色の縦点線に注目してください。
この縦点線は4月30日の午前8時なのですが、この日は月末ゴトー日です。
つまり、仲値の9:55にかけてドル円が上昇する可能性が高いです。
⬆︎30分足にしてピンク色の丸で囲った部分にフォーカスしてみました。
順当にいけばピンク色の部分で戻り売りが入り安値を更新する流れでしたが、この日は月末ゴトー日です。
結果はどうだったかというと、見て分かる通り9時からドルが買われだして、一段上の戻り目である106.90付近(緑色ライン)まで約30pips上昇しました。
上昇したのはドル売りよりもドル買いの方が多かったということです。
相場の裏側でどういう需給があったかは知るすべがありませんが、かなりの確率で仲値不足のドル買いによるものでしょう。
このように、ゴトー日には仲値にかけてドル円が上昇しやすいという傾向を知っていれば、仮に戻り売りをしていたとしてもそれを一旦手仕舞って短期的にロングする戦略が組めます。
知らなければこの上昇で損切りになっていたかもしれない値動きです。
つまり、仲値でドル円が上昇する仕組みを知っていれば、無駄な損切りを無くし、しかも短期的に大きな利益が狙うことができます。
このような仲値トレードを狙える場面は、挙げればキリがないくらい過去に多く存在しています。
ぜひ過去チャートを探ってみてください^^
「ロンドンフィックス」東京仲値のロンドン版も要チェック
仲値という制度は、東京市場特有のものではありません。
実はロンドン市場にもこの仲値に相当するものがあります。
それが「ロンドンフィックス(ロンドンフィキシング)」です。
ロンドン市場は東京市場よりも取引高が圧倒的に多いので、「仲値」での値決めに絡んだ売買も桁違いです。
そのため、「ロンドンフィックス」では東京市場仲値に比べてよりダイナミックに為替レートが変動します。
東京市場仲値とあわせて要チェックしておきましょう。
まとめ
仲値ではドルが買われて上昇しやすい傾向を知っていれば、無駄な損切りを無くせる上に、短期間で効率よく利益を狙うこともできます。
今回説明した仲値は、不確実性に溢れる為替相場の中で稀に見られる値動きのランダム性低下ポイントです。
この相場の特徴を理解して味方にしそれを利用すれば、勝率の良いトレードというのは思いの外簡単かもしれません。
利用せずとも、知っておくだけで負けを減らせるなら覚えておいて損はありません。
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