どうも、当ブログ管理人のおっちょ(@occho_fxtrader)です。
FXを始める際にまず覚えておきたいことの一つとして、「レバレッジ」があります。

レバレッジって何ですか?
FXの一つの魅力でもあるこの効率よく稼げる仕組みの「レバレッジ」ですが、これをよく知らないままトレードすると大損するどころか取り返しのつかないことにもなりかねません。
今回はこのレバレッジという仕組みを理解し、大損しないための資金管理について考えていただけたら幸いです。

それでは早速見ていきましょう!
FXのレバレッジとは?
レバレッジとは日本語で「てこの原理」を意味します。
小学生の頃、理科の授業で習った「小さな力で重いものを持ち上げる」アレのことです。
この「小さなもので大きなものを動かす」という仕組みが実はFXにもあり、それはレバレッジと呼ばれます。
レバレッジの本来の意味は上記の通り「てこの原理」ですが、その仕組みにちなんで、FXには自分が用意した資金の何倍もの大きさの資金で取引ができるレバレッジというシステムがあります。

なんでこんなことが出来るの?

それは「差金決済」と「証拠金」という仕組みがあるからです!
差金決済とは、現物の受渡し行わずに、売りと買いの差額で決済する方法のことです。
もう少し具体的に言うと、手に入れた商品を手放したタイミングで、「手に入れた価格」と「手放した価格」の差額だけをやり取りする方法です。
例えばあなたがFX口座に10万円を入金しトレードを始めたとしましょう。
次に、ドル円が上がると思ってドルを「1万通貨」を買いました。
買ったというのは「買いエントリーした」ということです。
「1万通貨」は1万ドルのことなので、日本円で約100万円です。
しかし実際には10万円しか入金していません。
それでも100万円分のドルを買えてしまうのは、ポジションを手に入れる(エントリーする)タイミングではなく、ポジションを手放したタイミングで決済する方法をとっているからです。
ざっくりいうと、「通貨を買ったとしても、どうせいつか必ず売るんだから、最後にその差額だけをやり取りすれば便利じゃない?」ということです。
100万のものを手に入れて、それが105万円で売れたなら、差額の5万円を受け取りますし、95万円になってしまったら、5万円を支払うわけです。
つまり、トレードで生じた「損益の分だけ」を最後にやり取りしているのです。
では、そもそもなぜ入金した金額以上の取引ができてしまうかというと、「証拠金」というお金を預け入れているからです。
証拠金とは、ポジションを取るためにその取引額に比例して必要となる預託金のことです。
入金した金額以上の取引ができる理由は、FX口座に入金しておいたお金が、取引で損失が生じたときの「支払い能力」を証明する「証拠」になっているからです。
FX会社はそのお金を信用して取引をさせてくれるので、お金を支払わなくてもポジションをもてるのです。
つまり、FX口座に入金しているお金が、差金決済で損失が生じたときの支払いに使われることになっています。

FXは「外国為替証拠金取引」と言いますよね!
繰り返しになりますが、FXでレバレッジというシステムが実現できるのは、この「差金決済」と「証拠金」という仕組みがあるからです。
そしてこのレバレッジのシステムを利用すると、預け入れた証拠金の25倍(※1)までの金額の取引が可能になります。
※1. 国内FX業者は現在最大レバレッジが25倍ですが、海外業者を利用すると数百倍の取引ができます。
ではこのレバレッジを利用した取引の例を考えてみましょう。
例えばあなたが100万円の資金でFXを始めたとします。
ドル円(1ドル=100.00円の場合)を取引するケースで考えてみると、レバレッジなし(レバレッジ1倍)場合では自己資金である100万円(1万ドル)分しか取引することができません。
しかし、レバレッジを利用すると最大2500万円(25万ドル)までの取引をすることが可能です。
レバレッジ無しでは元手100万円に対して100万円分(1倍)の取引しかできませんが、レバレッジを利用すると最大で2500万円分(25倍)までの取引ができるというわけです。
どちらも証拠金は同じ額ですが、このようにレバレッジを利用するとしないとでは取引できる金額が変わってきます。
強制ロスカットとは
レバレッジは高い収益率を実現できるという魅力がある反面、使い方を間違えると大きな損失を被ってしまう可能性があります。
それが強制ロスカットです。

なんか怖い響き。。。
強制ロスカットとは、FX会社の取引ルール(ロスカット・ルール)に基づいて、含み損となっている建玉を強制的に決済することを言います。
ロスカット・ルールというのは、FX会社が定める比率>証拠金維持率となった場合に、自動的に建玉を
強制決済することです。
ではこのシステムについて、以下で具体的に説明していきます。
Aさんは100万円を証拠金として口座に入金し、ドル円をトレードしようとしています。
ドル円がこの後上昇しそうだと思ったAさんは、1ドル=100円の時にドル円を10万通貨ロング(買いエントリー)しました。
その後、思惑が外れ、1ドル=95円にまで下落しました。
この時点での含み損は50万円です。
10万通貨分のポジションを保有するには40万円の証拠金が必要ですが、50万円の含み損が発生したとしても余剰証拠金が10万円あるのでポジションを保有していられます。
ところが、さらにドル円レートが下落し、1ドル=94円になりました。
この時点での含み損は60万円となり、余剰証拠金がゼロという状況になりました。(⬇︎)
⬆️のように、ドル円レートがどんどん下落しさらにこれ以上下落すると、10万通貨分のポジションを保有するための必要証拠金が足りない状態になってしまい、これはつまり今のポジションを維持できない状態を意味します。
そもそもこの状態になってしまっているということは、FXトレーダーの資産がすでに大きく失われているということでもあります。
これ以上損失が増えないように、含み損の出ているポジションを強制的に決済してしまう仕組みがFX会社の方で設けられています。
これが強制ロスカットです。

トレーダーの資産を守ってくれる仕組みなんですね!
この強制ロスカットのシステムは、国内FX会社であればどこの会社でも採用されているシステムですが、これに付随したシステムとして、マージンコールというシステムを取り入れているFX会社があります。
マージンコールとは、必要証拠金が不足した状態に陥った場合、ロスカットアラートという警告によってその不足分の追加入金を要求するもので、追加証拠金、略して追証(おいしょう)と言う場合もあります。
マージンコールが来たら、トレーダーは基本的に
- 追加で証拠金を入金する
- 損失の出ているポジションを決済する
の2つの内どちらかの対応をしなければいけません。
ポジションを持つために必要な証拠金の不足分を期日までに入金すれば、そのままポジションを保有できますが、入金できなければFX会社によってそのポジションが強制的に決済されてしまいます。

マージンコールは、強制ロスカットの一歩手前の状態で、まさにイエローカードが出されているようなものですね!
では、この強制ロスカットが執行されるのはいつなんだということですが、上述の通り、FX会社が定める比率>証拠金維持率となったタイミングです。
FX会社名 | ロスカットアラート発動水準 | 強制ロスカット執行水準 |
GMOクリック証券 | 証拠金維持率100%未満 | 証拠金維持率50%未満 |
SBI FXトレード | 無し | 証拠金維持率50%未満 |
DMM FX | 証拠金維持率100%未満 | 証拠金維持率50%以下 |
ヒロセ通商 | 無し | 証拠金維持率100%未満 |
YJFX | 証拠金維持率100%未満 | 証拠金維持率50%未満 |
上に挙げたのは全FX会社のうち一部ですが、50%に設定しているところが多い印象ですね。
レバレッジと強制ロスカットの関係
では次に、レバレッジを高めると強制ロスカットのリスクがどれだけ上昇するかを、以下の表で示します。
1ドル=100円の時にドル円を買った場合 | ||
レバレッジ | ロスカット執行レート | 下落率 |
1倍 | 0.00円 | 100% |
2倍 | 51.02円 | 48.9% |
3倍 | 68.03円 | 32.0% |
5倍 | 81.63円 | 18.3% |
10倍 | 91.84円 | 8.2% |
15倍 | 95.24円 | 4.7% |
20倍 | 96.94円 | 3.1% |
25倍 | 97.96円 | 2.0% |
※証拠金維持率50%未満でロスカットの場合
これを見ると、レバレッジを高めれば高めるほど少しの変動率で強制ロスカットを受けてしまうことがわかります。
反対に、レバレッジを下げれば下げるほど強制ロスカットのリスクを減らすことができます。
FXでレバレッジ25倍って危険?
上の表で示した通り、レバレッジ25倍だとレートがたった2%変動するだけで強制ロスカットを受けてしまいます。
1ドル=100円の時のドル円で言えば2円ですね。
2円も急変することは稀ですが、2015年1月15日に起きたスイスフランショックや、記憶に新しい2019年年初の1月3日に起きたフラッシュクラッシュのようなことがまた起こらないとも限りません。
そのようないつ起こるか分からない世界的な金融危機のほか、地政学的リスク発生の可能性も考えると、レバレッジ25倍というのはリスクが大です。
ポンド円のようなボラティリティの高い通貨ペアでは、さらにそのリスクは高まります。
そしてさらに怖いことに、相場の急変でスリッページが発生し強制ロスカットが間に合わない場合があります。
そうなってしまうと証拠金以上の損失が発生してしまう恐れが出てきます。
これはつまり借金を負っている状態です。

スイスフランショックではこの事態が実際に起きましたね。。。
FX会社側もこういった事態を危惧して、以下のように取引リスクについて説明しています。
外国為替証拠金取引は外国為替レート、金利の変動で損害を被るリスクがあり、投資元本は保証されません。預託した証拠金の額に比べ大きい金額の取引ができ、マーケットの相場変動率に比べ投資元本の損益変動率が大きく、状況により損失が預託した証拠金額を上回る危険性があります。ロスカット時、強制決済時に元本を超える損失が発生する場合がございます。 スプレッドは相場急変時、指標発表時等に拡大する場合がございます。スリッページが発生することにより、発注時点に比べ不利な価格で約定する場合がございます。また、市場の流動性低下等の理由により注文がリジェクトされる場合がございます。
引用元:GMOクリック証券より一部抜粋
このような注意喚起をするくらいですから、トレーダーはそのリスクについて十分に理解しなければなりません。
あなたに適切なレバレッジは
しかし、危険だからといってレバレッジを極限まで下げれば良いのかというとそうでもありません。
上の表で示した通り、レバレッジを下げれば下げるほどロスカットのリスクを抑えることができますが、その分リターンも少なくなります。
100万円の証拠金でドル円を取引し100pips獲得できた場合 | ||
レバレッジ(取引数量) | 利益 | 利益率 |
1倍(1万通貨) | 1万円 | 1% |
5倍(5万通貨) | 5万円 | 5% |
10倍(10万通貨) | 10万円 | 10% |
15倍(15万通貨) | 15万円 | 15% |
25倍(25万通貨) | 25万円 | 25% |
ドル円で100pips(1円)も獲得できれば大したものなのですが、同じ獲得pipsでもレバレッジ(取引数量)によって利益の額が異なります。
レバレッジを低くするということは、取引数量を抑えるということであり、ローリスクローリターンを意味します。
反対にレバレッジを高めるということは、取引数量を増やすということで、ハイリスクハイリターンを意味します。
せっかくトレードが上手くいって100pipsも獲得できたとしても、1万円では利益が少ないですし、だからといってレバレッジを高めた結果トレードに失敗してロスカットなんてこともあります。

じゃあレバレッジはどのくらいが良いんですか?

それは自分の取引スタイルによります!
スイングトレードであれば、200pips〜400pipsは狙いたいですよね。
長期スタイルは大きな値幅を狙うわけなので、レバレッジを高めなくても値幅による利益を期待できます。
目安としてはレバレッジ3倍〜4倍が適正です。
デイトレードであれば、40pips〜100pipsは狙いたいところです。
中期スタイルは、長期スタイルと違って大きな値幅を狙うものではないので、ある程度レバレッジを高める必要があります。
目安としてはレバレッジ5倍〜10倍が適正です。
スキャルピングトレードであれば、5pips〜20pipsという狭い値幅を抜くわけですから、その小さな値幅でもしっかり利益を確保できるようレバレッジを高める必要があります。
目安としてはレバレッジ20倍前後が適正です。
まとめ
これまで説明してきた通り、FXには自己資金の何倍もの金額の取引ができるレバレッジという仕組みがあります。
これは一つの魅力ではありますが、FXはギャンブルではないので一発逆転やスリルを求めて高レバレッジで取引するのは間違いです。
もしそれをやってしまうといつか資金が底を尽き、最悪の場合は借金を背負う羽目になる可能性もあります。
とはいえレバレッジを低くしすぎるとそれはそれで収益率が減りトレード効率が悪いので、自分のトレードスタイルからどこまでのリスクを許容できるかを考え、適切なレバレッジを見出す必要があります。
まずは自分がどのくらいの金額でトレードをするつもりなのか、そしてどのような取引スタイルでトレードしたいのかをもう一度確認しましょう。

それでは今回はこの辺で^^
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